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購入ありがとうございます。
この記事でぜひ「速くなる」を実現してください!!
練習の虫くんすけ(@kunuke5_com)です。
私は過去にJNCCで、「FUN-C表彰圏外→2年後COMP-Bシリーズチャンピオン」という「超・急成長」をしました。
「え!?!?そんなエグイ人いるの!?!?」と思った方へ、私の自己紹介はコチラ
YZ250Xユーザーの皆さん、キャブセッティングについてどのように考えてますか?
このような感じではないでしょうか?
ノーーーーンノンノーーン(なぜ英語?www)。
声を大にして伝えますが、適切なキャブセッティングが出せると
明確に走りが変わります。
以下の経験はないでしょうか?
- マディの登りセクションで大苦戦。
- クラッチを焼いてしまった。
- 半クラッチを使いすぎて腕上がりした。
- レース後半に走りがダメダメになった。
- 2ストのピーキーさに苦戦。
私は2023年JNCCワイルドボア鈴蘭大会でキャブセッティングをミスり、最大の難所「オロチ」を高回転域で上る羽目になりました…。
先日の鈴蘭。
キャブセッティング失敗で中速域全く吹けず、オロチ最初から最後まで1速固定。
ガレは得意だけど、流石にコレはキツかった〜😅
悔しさは練習にぶつけます👊👊 pic.twitter.com/est3qn6aeN
— くんすけ@練習の虫🐛#05 (@kunsuke5_com) August 2, 2023
適切なキャブセッティングが出せるようになると、これらを防げる可能性があり、
もっと楽に、もっと速く走れるようになります。
JNCCやWEXの成績アップには「平均スピードを上げること」が重要です。
適切なキャブセッティングで「もっと楽に、もっと速く」走れるようになれば、転倒&失敗によるタイムロスがなくなる上、走行速度が速くなり「平均スピードを上げること」に効果絶大です。
大多数の方が、「YZ250X キャブセッティング」と検索した経験があるのではないでしょうか?
もちろん私もです。
毎日いろいろな検索ワードを使ってネットサーフィンをし、X(旧Twitter)やYoutubeで思いつくかぎり探しまくりました。
私はラッキーなことに、身近に2ストのベテランである師匠やチームボスがいたので、さまざまなアドバイスいただくことができました。
その知識をもとにして試行錯誤を、なん回もなん回もなん回も……繰り返しました。
そのかいあって「外せない重要なポイント」にたどり着き、292.4時間乗り込んだことで、ほとんど狙っていた通りのセッティングを出すことができるようになりました。
適切なキャブセッティングを出そうとすると、2スト250を低速域から高速域まで使用することができ、ガレ場やウッズセクション、ヒルクライムだけでなく、ハイスピードコースも走れるスキルが必要です。
ですが「キャブセッティングの知識」さえ知ってしまえば、こっちのもんです。
2年で292.4時間も、乗り込む必要ありません。

もちの、ろんです!
おすすめのキャブセッティング数値だけでなく、調整方法や合っていない場合の症状、確認方法など、過去の自分が探し求めていた「喉から手が出るほど欲しかった情報」を惜しみなく公開します。
記事は以下の方に参考になります。
- すぐに使えるキャブセッティング数値を知りたい人
- 適切なキャブセッティングを出したい人
- キャブセッティングの実践的なノウハウを知りたい人
- キャブセッティング地獄におちいっている人
※「キャブセッティング数値表」は、2023年式以降のYZ250Xで出したセッティングとなります。
2022年式までの車体はCDI設定&標準セッティングが違うため、紹介する「キャブセッティング数値表」のみ使えませんが、キャブセッティングのノウハウは同じです。
理想的なキャブセッティングの定義
理想的なキャブセッティングがどのような状態か解説します。
ズバリ、以下の通りです。
- 半クラッチを使用せずにアクセル操作でエンジン回転数が保てる
- コーナーの立ち上がりで半クラッチ不要
- 登りセクションで半クラッチ不要
- 下から上までキレイに吹け上がる
- トルク感がある
半クラッチが不要で、低速域から高速域まで使え、トルク感がある
というセッティングとなります。
キャブセッティング数値表
理想的なキャブセッティングをかなえるために、私が繰り返し試行錯誤しまくった汗と涙の結晶である「キャブセッティング数値表」を公開します。
キャブセッティング数値表
MJ | JN(段数) | SJ | |
春・秋 | 168 | NYHW-2 | 50 |
夏 | 165 | N3CW-1 | 50 |
冬 | 170 | NYHW-2 | 50 |
サンド | 175 | NYHW-2 | 50 |
標準 | 178 | NYHW-2 | 52 |
MJ:メインジェット JN:ジェットニードル SJ:スロージェット
※エアスクリューはすべて全締めから1回転戻しです(夏のみ1:1/4戻し)
※N3CW-1はNYHW(標準)の1.5段相当となります。
※基準となる標高は300m程度の河川敷です。
ジェットニードルとスロージェットは新車購入時に付属してくるジェットで揃いますが、メインジェットは170、168、165を買い足す必要があります。
外せない重要なポイント
私のキャブセッティングの理想形は、「3速をうまく活用できる」セッティングでした。
エンデューロコースをギアチェンジなしで、3速ですべて回れるセッティングにして平均速度アップを狙っていました。
しかし実現なかなか難しく、立ち上がりで「モォーー」となってしまったり、エンジン回転数はついてくるけどトルクが薄かったと、半ば諦めようとしていました。
ですがそれを一発解決した内容があります。
フロントスプロケットを13丁に変更。
師匠がやっており、ある程度キャブセッティングをできるようになった段階で取り入れてみました。
はじめて乗ったときは、あまりの調子よさに
ただでさえ速い2スト250をさらに「ローギアードに振る」ということに半信半疑でしたが、2速や3速がとても使いやすくなりました。
具体的には、同じキャブセッティングでも半クラッチを使用せずにエンジン回転数がついてくるようになります。
一般的にローギアードにすることで「頭打ちが早くなること」が挙げられますが、シフトアップをすれば解決です。高回転域で引っ張って乗るようなライディングスタイルでない限り問題ないと思います。
スロージェットが年間通して50の理由
意図的になった数値ではなく、結果的に年間通して50となりました。
まず夏のセッティング。
2023年の夏に出したのは、メインジェット165に対してNYHW-1、スロージェット48という数値でした。
しかし2024年の夏になり、再度セッティングを合わせて走り込みを重ねてみると、不満が出てきました。
具体的には、吹け上りが早いため「排気バルブが開く前の領域」が使いにくく、ヒルクライム練習で使う「2速発進」ができなくなり、「トルク感」がなくなってしまいました。
次に冬のセッティング。
スロージェットを52に変更するという選択肢もありましたが、真冬のマイナス5度になるような気候でライディングしても、低速トルクに不満が出ませんでした。
逆にスロージェットを濃くすることでエンジン回転数がついてきにくくなる可能性があるため、スロージェット50で決定しました。
自分に合ったセッティング
おっしゃる通りです。
記事を読んでくれている方の実力差もバラバラでなので、上記の数値表で「あんがいイケる!」という方から、「ちょっと乗りづらいかな…」という方が出てくると思います。
恐らく私よりアクセル開度が小さい人が多いと思うので、「ちょっと乗りづらい」と思う方はセッティングを更に薄くする必要があります。
私からの提案が以下の表です。
さらに薄めなキャブセッティング数値表
MJ | JN(段数) | SJ | |
冬 | 168 | NYHW-2 | 50 |
春・秋 | 165 | N3CW-1 | 50 |
夏① | 163 | N3CW-1 | 50 |
夏➁ | 165 | NYHW-1 | 48 |
夏③ | 163 | NYHW-1 | 48 |
MJ:メインジェット JN:ジェットニードル SJ:スロージェット
※N3CW-1はNYHW(標準)の1.5段相当となります。
※エアスクリューは全て全締めから1回転戻しです(夏のみ1:1/4戻し)
※サンドセッティングは薄くせず同じ。
私が出したセッティングを、季節ごとに1段階薄めにした数値表です。
夏用は「経験から出した理論値」で試したことがないため、3通りの組み合わせを考えました。
スロージェット48の場合、N3CW-1(標準の1.5段相当)と組み合わせるとつながりが悪かったため、標準ジェットニードルのNYHW-1と組み合わせます。
キャブセッティング調整方法
皆さんは「キャブセッティング数値表」を見てこのように思いませんでしたか?
標高の違いはエアスクリューによって調整します。
具体的には、エアスクリューを1回転戻し~1:1/2回転戻しの範囲で調整を行います。
ジェット類の兼ね合いにもよりますが、1:1/2回転戻しであってもトルク感がなくなり、吹け上りが早くなるため乗りにくくなる場合があります。
JNCCやWEXの場合、レース会場としてスキー場が多いため標高が高くなります。
私の場合、河川敷での練習は(標高300m)はエアスクリューを1回転戻し、山での練習(標高1100m)は1:1/4戻しとしてます。
真夏の山練習のみ、エアスクリューを1:1/2回転戻しに設定してます。
JNCC&WEXの実践的な練習になり、キャブセッティングにもオススメなのが、私も年に数回通っているONTAKE EXPLORER PARKです。
標高が1700m以上あるので、キャブセッティングを合わせないと燃調が濃くなってしまい、非常に走りにくくなります。
コースはレベル分けしたセクションがあり、上級コースは結構ムズかしめ。普段できないゲレンデでの全開走行や、ハイスピードダウンヒルなどを練習することが可能となります。
標高の確認方法
私はキャブレタ Jetting Yamaha 2T Moto(for YZ65, YZ85, YZ125, YZ250)という専用アプリを使用しています。


このアプリはなかなか優れもので、現在地の天気情報を取得すると、標高だけでなく気温や湿度を記録してくれます。
天気情報を取得したタイミングや数値変更をした場合は履歴として残るので、「あの時どうだったっけ?」とすぐに振り返ることができます。
キャブセッティングの数値目安も表示してくれますが、モトクロッサーであるYZ250用なので数値的に使えない設定が多く、標高変化による「メインジェット数値の変化」のみ参考にしてます。
ただ900円する有料アプリなので、このアプリを知る以前は「標高ワカール」という無料アプリを使用していました。
上記以外にも標高確認アプリは沢山あるので、自分の好みで選んでみてください。
キャブセッティングが合っていない症状
症状としては「濃すぎ」と「薄すぎ」の2パターンあります。
2つの違い理解できると、ちょろっと走っただけでセッティングが合っているか判断ができるようになります。
濃すぎる場合
症状は分かりやすく、「半クラッチ」を使用しないとアクセル開度を上げてもエンジン回転数がついてこなくなります。
今まで余裕で通過していたセクションで、ひとつ下のギアでないと「アクセルを開けてもエンジン回転数が上がらない」といった症状が出てきます。
仮にエンジン回転数が落ちているのに半クラッチを使用しないと、「モォーー……」とすぐエンストします。
またサイレンサーの音が「ボボ、ボボ」といった湿った音となり、被りやすくなります。
薄すぎる場合
症状は少し分かりにくく、吹け上りが早くなりすぐ高回転域へと移行したのち、早めに頭打ちします。
パワーバンドで走りやすくなるし「回転もビンビン上がるからよいじゃん!」となるので、スピード域が高めなモトクロスでは調子よく感じると思います。
しかし低中速域が重要となるエンデューロでは、この特性が非常にやっかいとなります。
難所やガレセクションなど排気バルブが開く前の領域でトコトコと走りたいシチュエーションで、高回転域のパワーバンドでガツガツ走る必要がでてきます。
息継ぎについて
キャブセッティングを勉強して知った「息継ぎ」という症状。
息継ぎ=燃料が薄い
とサービスマニュアルを読んで理解しました。
しかし「どのようなシチュエーションで、どのような症状として現れるのが息継ぎなのか?」は、まったくもって分かりませんでした。
試行錯誤を繰り返して分かった内容は、登りセクションで起こりやすく「ガス欠」に似た症状ということ。
登りで速度を上げるためにエンジン回転数を上げようと、アクセル開度を大きくしているのに「ポポポポ」といってエンストしそうになります。
この症状は、低速域を決めるスロージェットのみ薄くした場合や、中速域を決めるジェットニードルのみ薄くした場合など、繋がりが悪いセッティングで起こりやすいです。
ジェットニードルを外すと致命的
セッティングが濃いのは半クラッチを多用し、薄い場合は高回転域を使うことで何とか走ることができます。
しかし中速域の燃調を担っているジェットニードルのセッティングを外してしまうと、まともに走れなくなります。
例えば紹介した冬用セッティングで、ジェットニードルのクリップのみ1段濃い3段目に変更。
たったのこれだけで、吹け上りの繋がりが悪くとても走りにくくなります。
音で表現すると「ビーーモォーーービィーーーン」という感じで中速域の繋がりが悪くなり、速度もエンジン回転数もプラトーになってしまう領域が生まれます。
逆に冬用セッティングで、ジェットニードルのクリップのみ1段薄い1段目に変更すると、中速域の吹け上りが早すぎて低中速がまともに使えなくなります。
音で表現すると「モォーー(ギアを1つ下げる)、ポポポポ、ビーーーン」と息継ぎを起こした直後に急に吹け上がります。
冒頭のX投稿動画が中速域が薄い同じセッティングだったので、スピードが落ちるといきなり息継ぎを起こし、頻繁にスタックしました…。
キャブセッティング確認方法
このように思っている人が多いと思いますが、
半分正解で、半分不正解です。
プラグ状態を確認
走行後のプラグ状態を確認することで、「低速域や高速域」の燃調を確認できます。
プラグ状態の判断方法は、サービスマニュアルの8-セッティング部分に記載してあります。
セッティングがライダーに合っているとプラグの電極部がこげ茶色になり、全体的に乾燥している状態となります。
薄い場合は白っぽく乾燥した状態でエンジンが焼き付くことがあるので注意。
濃い場合は黒っぽく全体が湿った状態で、多少濃い状態であっても本人が「調子よくて乗りやすい」と思うなら、そのセッティングで正解です
ですがプラグ状態には中速域を担っているジェットニードルの影響がでないため、1つの判断材料として認識するのがよいです。
私もセッティング変更して、走行したあとに確認するようにしていますが、2スト250の特性を理解してからは「走りやすいか、走りにくいか」を重要視しています。
傾斜がある路面で確認
必ず山やエンデューロコースで傾斜のついたセクションで走行するようにします。
モトクロスコースのようなハイスピード域で走る場合や、河川敷で走る場合は「ちょっと乗りにくいかな?」という状態であっても、ごまかしが効きます。
しかし、むずかし目な登りセクションやヒルクライム、ガレ場、マディコンディションなどはキャブセッティングが合っていないと顕著に失敗&転倒しやすくなり、「ごまかし」がまったく効きません。
判断すべきチェック項目は以下の通りです。
- 登りで半クラッチを多用していないか
- 登りで「排気バルブが開く前の領域」を使用できるか
- 登りで路面をかかずにトラクションするか
- 下りでエンストしないか
セッティングが濃くても薄くても、登りセクションで苦戦します。
具体的には濃い場合は半クラッチを多用しなければならず、薄い場合は路面をかきやすいのでトラクションしにくいです。
下りセクションでクラッチをきる場合、キャブレターの油面が適切でないと傾斜により燃料が流入しにくいため、エンストしやすくなります。
アイドリングが低めな場合も同様で、アイドリングスクリューを締めこむことで回転を上げて対策します。
カーボンリードバルブの使用経験
キャブセッティングに大きく影響するカスタムパーツであるMOTOTASSINARI:モトタシナリーのV-FORCE3の使用経験について紹介します。
「ブイフォース」と聞いて知っている方も多いのではないでしょうか?
値段が3万チョイと値がはるので、「使ってみたいけど、実際どんな感じなのかなー?」となっている方も多いと思います。
なので実際に購入して使ってみた私が、ズバリ言い切ります。
ほとんどの方にとって必要ないです。
まず取り付けるメリットは以下の通とおり。
とにかく言えるのはトルクアップです。
イメージでいうと「トルクの膜」が全体にかかり、全体トルクが1段階アップしたような印象です。
低中速トルクが薄くて悩んでいる場合に「お!これはいいじゃん!!」と、わかりやすい変化が起こります。
いっぽう取り付けるデメリットは、以下のとおり。
全域でトルクアップするということは、高速域でもトルクアップします。
それにより、ただでさえ速い2スト250の「パワーバンドの加速」がさらに強化され、こわくてアクセルを開けにくくなります。
アクセルを開けにくくなることでプラグ状態が悪くでてしまい、現在のセッティングが合っているのか判断しにくくなります。
個体差や使い方で変わりますが、私の場合は3か月程度でカーボン部分の一部が破損しました。


キャブセッティングの過程で発覚し、なぜか「吹け上りが急激になってオカシイ」と思っていたときでした。
カーボン部分の補修部品である「スペアリード」が売っていますが、1万円と決して安くありません。
以上を理由に、モトクロスコースで全開域を多用してガツガツ走りたい方にはよいですが、私も含めた一般的なエンデューロライダーには必要なく、フロントスプロケットを13丁に変更してキャブセッティングで不満を解消させる方がよいです。
おわりに
今回はエンデューロライダーに贈る「速くなる」キャブセッティングのコツということで、私が292.4時間乗り込んで習得してきた内容を惜しみなく公開しました。
海外メーカーの2スト250がセル付きインジェクションへ移行する中、キャブキックオンリーをつらぬいているYZ250Xですが、まったく引けを取らない実力で今も大活躍中です。
この記事を参考にして是非自分に合うセッティングを出して「速くなる」を実現してください。
さいごまで読んでいただき、ありがとうございました。